日本の歴史教科書におけるアイヌ史歪曲

近年では特に2015年頃に問題になった、日本の歴史教科書におけるアイヌ史の歪曲について。

東アジア・東南アジア諸国の人々は第二次世界大戦における日本の敗戦により日本の軍事占領から解放され、今や歴史的事実に基づいて編纂された自国の歴史教科書を用いて正しい歴史を学ぶことができるが、今現在も日本に支配され続けているアイヌ民族や琉球民族の人々の多くは日本の歴史歪曲教科書で自民族の間違った歴史を学ぶことを余儀なくされている。

この点においては、日本帝国主義の最大の被害者はアイヌ民族と琉球民族であると言える。

なお、「アジアで日本の歴史を悪く言うのは中国と南北朝鮮だけ」と言い張るバカのためにここで指摘しておくが、東南アジア諸国も歴史教科書に日本軍の悪事をはっきりと記述し、日本による歴史歪曲への抗議も行っている(詳しくはこちら)。これだけでも本当に歴史を歪曲しているのはアイヌ民族や中国や南北朝鮮のほうではなく、日本のほうだというのがわかるというものだ。



目次
1. 歴史、正しく伝わるか 中学教科書検定、アイヌ民族に「土地あたえた」
2. 教科書のアイヌ記述、検定で“歴史歪曲”



歴史、正しく伝わるか 中学教科書検定、アイヌ民族に「土地あたえた」


04/07 06:45、04/07 17:19 更新


「旧土人保護法の法の趣旨を生徒が誤解する恐れがある」として検定意見が付いた教科書の記述

文部科学省が6日公表した中学校の教科書検定では、政府見解による新しい基準に基づき、従来は認めていた表現についても修正を求めた。歴史教科書の中には、「北海道旧土人保護法」の記述を修正した結果、狩猟、採集などの場を奪われたアイヌ民族の歴史が中学生に正しく伝わりにくい事例も出ており、専門家からは疑問の声が上がっている。

<狩猟採集中心のアイヌの人々の土地を取り上げて、農業を営むようにすすめました>

日本文教出版(東京、大阪)の歴史教科書は従来、1899年(明治32年)施行の同法についてこう表記していたが、次のように修正された。

<狩猟や漁労中心のアイヌの人々に土地をあたえて、農業中心の生活に変えようとしました>

表現上、逆の意味となったことについて、文科省は「アイヌ民族を保護するという法律の趣旨に照らすと生徒が誤解する恐れがある」と説明する。



教科書のアイヌ記述、検定で“歴史歪曲”


記事の魚拓

門田 耕作 2015年8月21日

2016年度から中学校で使われる教科書の検定結果が4月、文部科学省から公表されました。それによると、「東京裁判」や「慰安婦」などの社会科の記述について、政府見解に基づくよう意見が付けられ、修正が施されたことがわかりました。また、検定前に一部改定された「学習指導要領解説」に明記され、政府の立場を教えるように求められた「竹島」と「尖閣」については、全ての社会科教科書に記述が登場することになったことも、同時に大きく報じられました(4月7日付朝日新聞など各紙)。一方、明治政府がアイヌ民族の同化を進めた「北海道旧土人保護法」(1997年アイヌ文化振興法制定で廃止)に関する記述にも検定意見が付き、修正されたことはあまり大きく取り上げられませんでした。いま、この修正にアイヌの人たちが怒っています。

■「正反対」の意味に修正

問題の修正は、日本文教出版の歴史教科書でありました。現行本と、今回の検定で修正された記述を読み比べてください。

現行本
政府は、1899年に北海道旧土人保護法(「保護法」)を制定し、狩猟採集中心のアイヌの人々の土地を取り上げて、農業を営むようにすすめました。
修正後
政府は、1899年に北海道旧土人保護法(「保護法」)を制定し、狩猟や漁労中心のアイヌの人々に土地をあたえて、農業中心の生活に変えようとしました。
前回の検定に合格した現行本の「土地を取り上げて」が、まったく正反対の「土地をあたえて」に修正されています。


検定申請された際は「アイヌの人々の土地を取り上げて」とあった「北海道旧土人保護法」に関する箇所(写真中央)が、検定済みの教科書では「アイヌの人々に土地をあたえて」(同左)と修正されている=東京都江東区の教科書研究センター所蔵の資料を撮影

検定意見書には「(旧土人保護法の趣旨を)生徒が誤解するおそれのある表現である」と短く指摘事由が書かれていますが、5月18日付北海道新聞によると、「同法はアイヌ民族に土地を『下付(下げ渡し)』するとしており、文科省はこれに沿って検定意見を付けた」、4月7日付朝日新聞によると「法の目的は土地を取り上げるのでなく分与することにある」との意見が付いたといいます。

これに対して出版社側は、「法の狙いは土地を取り上げる趣旨ではない。納得するとか反論するではなく指摘があったことは直していく」(4月7日付北海道新聞)、「斜めから見た部分を強調していた反省もある」(同朝日新聞)と、修正に応じました。

地元の北海道新聞はこの修正について、「アイヌ民族への支配や同化の歴史をねじ曲げ、薄めようとしているようにしかみえない」と同日の社説ですぐに論評、東京新聞は「極めておかしな記述だ。アイヌには狩猟・採集で『イオル』(猟場)を中心とする伝統的な土地の利用方法があった。政府はそれを無視して土地を取り上げ、まずは和人に分配して、残った農耕に不適な土地をアイヌに分配した。これまで研究されてきた旧土人保護法の評価を間違えている」という北海道大アイヌ・先住民研究センターの丹菊逸治准教授のコメントを、4月16日付「こちら特報部」で掲載しました。



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