台湾問題の真実

当ページでは、台湾(中国台湾省、中国台湾地区)の帰属問題(両岸問題)、および親日と反日にまつわる問題に関する真実の情報を集める。

現在の台湾は独立国家ではない。強いて言った場合でも、現在の台湾と中国大陸はいわば南北朝鮮やかつての南北ベトナム、東西ドイツのように「分断国家」状態にある地域と見做すのが関の山である。現在の台湾に存在する中華民国政府主導で中国全土を統一すべきだと主張するならまだしも、台湾を完全な独立国家にすべきだという主張は、「北朝鮮は朝鮮から独立すべき」だとか「南ベトナムはベトナムから独立すべき」だとか「東ドイツはドイツから独立すべき」だとか言うような馬鹿馬鹿しい主張である。

そもそも、現在の台湾を実効支配している政府の正式名称は「中華民国」(Republic of China)であるし、そのオリンピックなどの場での名称は「チャイニーズタイペイ」、すなわち「中華台北」で、台湾の公用語は中国語(繁体字を使ってはいるが)で、住民の圧倒的多数派を占める民族は中国大陸の多数派民族と同じ漢族で、台湾で支配的な文化は中国文化で、台湾料理も中国料理の一流派に分類され、世界で公式に使われている世界地図のほとんどでも台湾は中国の一部として塗り分けられ、台湾と国交を持っている国は年々減少して今や世界の国々のうちの10分の1程度に過ぎない20ヶ国程度にとどまっている。どう考えても現在の台湾から中国的なものを一切排除したら社会が成り立たなくなるのは自明で、台湾を「中国とは何の関係もない別の国」とするのはあまりにも無理がありすぎる。

また、日本ではやたらに「台湾は親日」と言われるが、それは一面的な物の見方に過ぎない。台湾には他の近隣諸国と同じく領土問題、従軍慰安婦問題、靖国神社問題が存在しており、これらの問題に関しては台湾政府も公式に日本を繰り返し批判している。これらの問題は、トルコやらブラジルやらといった他の親日とされる諸国には存在しない問題なので、そういった意味では台湾も反日であると解釈することは十分に可能である。

新疆問題については「新疆問題の真実」を、チベット問題についてはトップページを参照のこと。



目次
1. 台湾問題の真実(Ver.1)
2. 台湾問題の真実(Ver.2)
3. 「一つの中国」という概念
4. 台湾における反日感情
5. 台湾の本省人は親日で外省人は反日だという嘘
6. 台湾は親日だから好きだというのは愚かな考え方



台湾問題の真実(Ver.1)


2017年11月30日にサービスを終了した「Yahoo!知恵ノート」より、中国史に詳しい人がまとめた台湾問題の真実の基礎知識を提供してくれる記事を復刻。



台湾は中国の土地の一部

■民族

台湾の原住民は高山族です。下の画像は、第四版人民元一角札ですが、左の人物は高山族です。

下の地図は、中華人民共和国の少数民族の分布図です。台湾島も描かれていますが、台湾島の左半分は漢族で、右半分は高山族です。

つまり、何を言いたいかというと、「高山族」という台湾の原住民が、中華人民共和国の55の少数民族の一つとして認定されているからです。

■人物・歴史

台湾では、鄭成功は台湾を植民地にしてきたオランダを追い払ったとして、英雄とされています。この人は日本の長崎平戸で生まれ、父は福建人、母は日本でしたが、中国古代の公務員試験「科挙」に合格し、明朝(中国の王朝)に忠誠を誓った事から、この人は中国人です。

清朝(中国最後の王朝)が約200年間台湾を支配していました。ある人は、清朝は台湾を野蛮な地域としていて、実質支配していないと言っています。日本は日清戦争後に台湾を植民地にしました。なぜなら清朝と戦って勝ったからです。もし清朝が台湾を支配していなかったとしたら、日本は日清戦争前に台湾を植民地にしていたはずだったのです。清朝が台湾を支配していた時、台北に「台北府城」が築かれました。城門は北門の承恩門、南門の麗正門、小南門の重煕門、東門の景福(照正)門、西門の宝成門があります。その城が清朝が台湾を支配した時に築かれたのなら、清朝が台湾を支配した事があると言えます。日本が台湾を植民地にする前、「台湾民主国」という国が台湾を支配していましたが、この国の元号は「永清」で、意味は「永久に清朝」、簡単に言うと「台湾は永久に中国の土地だ」という事になります。つまり台湾民主国は完全な独立国ではありません。

また、清朝は満洲族の王朝であり、漢族と関係ないという人がいますが、それを言う奴は中国を全然理解していないと言って良い程です。中国の歴史を見ると、ほとんどは周辺の異民族です。例えば、日本は中国に遣隋使や遣唐使を送りましたが、隋朝も唐朝も漢族ではなく、鮮卑族の王朝であったのです。簡単に言うと、漢族と周辺の異民族が共同して中華文化と文明を作り上げたという事です。話は戻りますが、清朝は確かに満洲族の王朝でしたが、ほとんど漢化されています。隋朝から約1300年も行われた中国の昔の公務員採用資格試験「科挙」が清朝も受け継いでいたのです。満洲八旗の軍旗や清朝の国旗、皇帝服等には、漢族の神様でもある「龍」が描かれています。また、1906年に清朝の陸軍が成立しました。その軍歌の歌詞;

於斯萬年,亞東大帝國!
山嶽縱獨立幟,江河漫延文明波;
四百兆民神明冑,地大物産博。
揚我黄龍帝國徽,唱我帝國歌!

また、1911年10月4日に中国史上最初の国歌である清朝の国歌がつくられました。その国歌の歌詞;

鞏金甌,承天幬,民物欣鳧藻,
喜同袍,清時幸遭。
真熙r,帝國蒼穹保,
天高高,海滔滔。

このように、満洲族が使う満洲語ではなく、漢族が使う漢語が歌詞となっています。だから、清朝は中国の王朝の一つです。という事は、中国五千年の歴史の中で、中国が台湾を領有した事があるのです。そもそも、中国五千年の歴史の中で、清朝の弁髪等の異民族の文化が入ったとしても、中華文化が途切れる事はありません。

第二次世界大戦中、「カイロ会談」や「ポツダム会談」がありました。中国も参加していましたが、中国の代表は「台湾を中国に返還すべき!」と主張していたのです。

■その他

  • オリンピック・アジア競技大会等のスポーツ大会、APECで、台湾は単独で参加していますが、中華人民共和国特別行政区の香港も単独で参加しています。
  • 台湾では人民元ではなく、新台湾ドルを使っていますが、中華人民共和国特別行政区の香港や澳門でも独自の通貨を使っています。
  • いきなり台湾を中華人民共和国の台湾省、つまり、社会主義化にしてしまうと、台湾島民から不満が出ると思います。今の台湾の社会を見ると政治面も経済面も資本主義の陣営であるからです。だから、香港や澳門と同じように、台湾に一国二制度を導入し、「台湾特別行政区」にしたら良いでしょう。
  • バチカンやハイチ、パラオ等の23カ国は中華人民共和国と国交がありませんが、台湾という独立国と国交を結んでいるわけではありません。アメリカ合衆国に「台湾関係法」という法律がありますが、台湾独立を応援しているのではありません。つまり、全世界、どの国も台湾の独立を支援していないのです。




台湾問題の真実(Ver.2)


同じく「Yahoo!知恵ノート」より、上記とは別の中国史に詳しい人がまとめた台湾問題の真実の基礎知識を提供してくれる4つで1組の記事を復刻。



【台湾問題@】現在の台湾は独立していない

現在の台湾を実効支配しているのは「中華民国」ですが、台湾の中華民国も大陸の中華人民共和国も同じ中国です。「中華民国」を英語に訳すと「the Republic of China」になりますが、その中に「China」という単語があるのです。現在の台湾で使われている中華民国の国旗「青天白日満地紅旗」は1949年までの中国大陸では中国の国旗として使用されましたし、中華民国国軍(台湾軍)の前身は「国民革命軍」で、日中戦争時は日本軍と、国共内戦時は中国共産党の軍隊と戦争したことがあったのです。

中華民国と台湾は同じではなければ、台湾は中華民国として独立しているのではありません。台湾は中華民国の中の地域にすぎず、中華民国が主張する領土は広大な中国大陸も含みます。また、台湾は中国の一省(台湾省)であります。設立した時の省政府所在地は台北市ですが、「反攻大陸」を唱えていた時代は南投市にある中興新村に移されました。現在の台湾省は凍結状態にありますが、完全に解体されたのではありません。

中華人民共和国と中華民国は祖国統一を目指して、台湾海峡で対立しているのが現状です。中華人民共和国は中華民国を認めておらず、「台湾当局」を名づけ、逆に中華民国は中華人民共和国を認めておらず、「大陸当局」或いは「中共当局」と名づけています。つまり、中華民国も「一つの中国」を唱えており、「三民主義統一中国」を目指しています

では、なぜ中国はそこまで「一つの中国」を実現したいかというと、秦の始皇帝による天下統一と関わりがあるのです。中国の戦国時代、秦・楚・燕・斉・趙・魏・韓の7国(戦国七雄)が分割統治をしました。後に秦は残りの6国を滅ぼし、全中国を統一しました。それで、中国は一つだという意識が生まれるのです。三国志や南北朝など、中国が分裂する時代が多かったのですが、誰もが常態ではないと思っており、中国が一つであることは、本来的であることです。日本でも大人気な三国志の話をしますが、当時は魏・呉・蜀の3国が分割統治をしました。しかし、それらの国々がお互い認め合ったのではありませんでした。天下大乱になったほど、統一のために戦争して、後に晋が全中国を統一しました。このような「一つの中国」という古代からの伝統を今でも受け継いでおり、中華人民共和国も中華民国も、中国統一を目指しているのです

将来的には中華人民共和国が全中国を統一することになるでしょうけれど、統一後、台湾の人民を苦しめるようなことは一切しません。中華人民共和国は台湾を香港とマカオと同じように、台湾に「一国二制度」を導入し、「特別行政区」を設けることになります。統一後の台湾が心配だったら、香港を見ればいいです。香港はかつてイギリスの植民地でした。中国に返還された後も、経済的にも政治的にも昔のままで、香港独自で外国と貿易や、オリンピックとAPECに参加したり、通貨を発行したり、しかも返還後、香港ディズニーランドが開園されたり、香港で最も高い超高層ビル「環球貿易広場」が建設されたりと、さらに発展したような気がします。大陸・台湾が統一されても、台湾人の生活は昔のままで、政治も変わらず、独自でオリンピックなどに参加できますし、台湾の場合は独自の軍隊の所有ができるそうです。

大陸と台湾は国と国との関係ではなく、両岸問題は日本でいえば平安時代末期の源平合戦のような国内問題です。ということは、大陸も台湾も中国の領土ですので、「中国と台湾」「中台関係」というのは禁句です。「両岸関係」という言葉を使用しなくてはなりません。また、中国国外にある書類に国籍欄があれば、そこには「台湾」ではなく、「中国」と書かなくてはいけません。確かに台湾は中華民国が統治していますが、「中華民国」という国名の中に「台湾」という言葉はありませんので、台湾人でも国籍欄には「中国」と書くことを願います。

1943年12月1日に締結された「カイロ宣言」の中に、「日本が窃取した中国の領土、例えば満洲、台湾、澎湖群島などは中国に返還する。その他日本が武力または貪欲によって奪取した土地からも必ず日本を追い出す」と明記されています。条約以外にも、憲章と宣言などは国際法の一部です。従って、台湾は国際法上、中国の領土です。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14105592354



【台湾問題A】台湾の民族

現在の台湾にいる民族は2つあります。それは漢族と高山族(台湾の原住民族)ですが、漢族も高山族も同じ中国人です。中国には55の少数民族が存在しています。中国の少数民族のうち、高山族も含まれているのです。漢族も少数民族も同じ中国人なのですが、台湾の原住民族が中国の少数民族になっていますから、台湾にいる人たち全員が中国人であることは明々白々です。

オリンピックなどで国歌を流す場面がありますが、台湾の場合は「中国台北オリンピック委員会歌」を流します。以下はこの歌の歌詞です。

山川壯麗,物產豐隆,炎黃世胄,東亞稱雄。
毋自暴自棄,毋故步自封,光我民族,促進大同。
創業維艱,緬懷諸先烈,守成不易,莫徒務近功。
同心同コ,貫徹始終,青天白日滿地紅。

この中に「炎黄」という言葉がありますが、これは「炎帝」「黄帝」の二人で、彼らは中華民族の先祖です。「炎黄世胄」とは、中華民族の子たちを意味します。つまりこの歌で、台湾人は自ら「我々は中華民族の一員」であると唱えているのです。

このQ&Aのベストアンサーをご覧下さい。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14113651244



【台湾問題B】中国の歴代封建王朝が台湾を統治したことがあった

中国歴代の王朝が、台湾を統治したことがあるのは真実です。元朝は澎湖に「巡検司」を設けて、台湾を管轄しました。南明政権の鄭成功はオランダ人を台湾から放逐しました。現在の大陸人も台湾人も鄭成功を「侵略者を追い払った人」として民族的英雄として描かれています。確かに鄭成功の母は日本人ですが、鄭成功は明朝の忠臣・軍人ですので、彼は国籍的に中国人でした。鄭成功がオランダ人を台湾から放逐した後、台湾を「反清復明」の拠点になったのですが、この時の台湾は明朝の領土になっていました。一方、大陸側は清朝の領土となっており、明朝と清朝が台湾海峡で対立したのです。後に南明政権が完全に滅ぶと、清朝は台湾に台湾府を設置し、台湾を福建省に属させました。清仏戦争などの教訓から、1885年、台湾に台湾省を設置しましたが、10年後、台湾は日本に奪われてしまいました。現在の台北中山堂の前に清台灣巡撫衙門旧址と書かれた碑文があります。清朝が台湾を統治したことがあるのは明白です。

1874年、琉球漁民が台湾島民と衝突事件が発生したという日本側の口実で、日本軍は台湾を侵略しました。そもそも、琉球は完全な独立海洋国家であって、日本人にとって琉球は外国の地です。

http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n188927

1871年に発生した宮古島島民遭難事件については、中国(当時は清朝)と琉球国の2ヶ国間で解決するのであって、日本は全く無関係です。しかし、日本は琉球を侵略したから、隣の台湾をも侵略しようと、この事件を利用して、軍を発動し、台湾を侵略したのです。

1943年11月27日に出された「カイロ宣言」の中に「日本は満洲(中国の東北地区)・台湾・澎湖列島などを中国に返還しなければならない」と明記されています。条約だけではなく、憲章・宣言・協定も国際法ですので、国際法上、台湾は中国の領土です。それで、1945年8月15日、日本は無条件降伏をした後、同年の10月25日、台湾が中国に返還され、中国が再び台湾省を設置したのです。

http://www.taiwan.cn/twzlk/lsh/mingqing/



【台湾問題C】台湾の日據時代

日清戦争後、台湾は日本の植民地になりましたが、台湾人は日本による植民地支配を望んでいませんでした。日本軍が台湾に上陸する前、清朝の役人と台湾の一部住民が協力して「台湾民主国」を成立して、日本の侵略に抵抗しましたが、台湾民主国は完全な独立国家ではありませんでした。むしろ、清の傀儡国家でしょう。台湾民主国の国旗は藍地に黄色い虎が描かれている旗です。清朝の国旗は「黄龍旗」です。台湾民主国は「黄虎」を選んで対になるようにしたのです。また、台湾民主国の年号は「永清」ですが、これには「永久に清国」という意味が込められているのです。台湾民主国成立の目的は中国との分離ではなく、日本からの侵略を守るためです。

結局、以上の抗日戦争は失敗し、台湾は日本の植民地になってしまいました。しかも、台湾での日本支配はとても酷かったのでした。特に日中戦争開戦以降の皇民化運動で台湾人を日本人化しました。語学の学習では日本語のみとなり、台湾語・客家語・高山族の言語の使用は抑圧・禁止されてしまいました。また台湾の風俗などは強制的に日本風なものにされ、寺廟は取り壊されたり、神社に改築されてしまいました。中華風の結婚・葬式も強制的に日本風なものに変わってしまったのです。

もちろん、このような日本支配に反対するために抗日運動も多く発生しました。日據時代最大の抗日運動は「霧社事件」でした。1930年に日本人が罪のない高山族(台湾原住民)の若者を殴打したのが事件の原因です。それで、モーナ・ルダオをリーダーとする武装蜂起をしましたが、日本軍は「毒ガス」などの恐ろしい兵器を使って台湾人を鎮圧したのです。さらに日本軍は蜂起した人はともかく、婦人までを首狩りしてしまったのです。そして現在、台湾の霧社では毎年、霧社事件被害者の遺族らが参加して、犠牲者を追悼する「追思祭典」が開催されています。ちなみに、今の台湾人は親日的で、 日據時代を懐かしんでいますが、それは日據時代に日本人が台湾人に対して洗脳教育をしたから、そうなってしまったのです。

確かに日本人は台湾に学校・病院・ダムなどを建設したり、道路・港湾・鉄道・貨幣制度などを整備したりと、インフラ整備をしました。しかし、その恩恵を受けているのは台湾人ではなく、日本人であり、台湾にいる日本人にとって生活しやすくなっただけです。かつてのイギリスは香港を植民地にし、上海を租界にしました。イギリスはそれらの都市にインフラ整備を実施し、香港は「東洋の真珠」、上海は「東洋のパリ」と呼ばれるほど発展しました。つまり、植民地にインフラ整備を実施するということは、植民地支配をさらに強化していることと等しいのです。

http://www.taiwan.cn/twzlk/lsh/riju/



「一つの中国」という概念


「Yahoo!知恵ノート」より復刻。台湾問題とも関係が深い「一つの中国」という概念について。



「一つの中国」について。

書籍:秦の始皇帝
著者:陳 舜臣

まえがき

春秋戦国の舞台は、それが当時の全世界であった。戦国末期の七雄(秦、楚、燕、斉、趙、魏、韓)がそのままつづいておれば、その世界は七つほどの国に分かれ、ヨーロッパのような形で、現在に到ったかもしれない。そうならなかったのは、秦の始皇帝が天下を統一したからだった。

<略>

統一の経験は、人びとの胸に強く、そして長く残った。三国時代、南北朝、宋金対峙など、中国はその後しばしば分裂したが、そのときでも、だれもがこれが常態ではないとおもっていたのである。中国が一つであることは、まさにアプリオリ(本来的であること)であった

P17

当時、七つの国がありましたが、国ごとに字の形が違っていたのです。そのおおもとは殷の甲骨文字から出たものですが、それが各地によって少しずつ字体が異なり、七つの国にそれぞれ違った文字があったのです。

それを始皇帝は、秦の小篆という字の形を天下の文字と定めて、あとの六つの国の文字を廃止したのです。廃止されたものを六国文字といっています。

P18〜19

もう一つ有名なのが、“同軌”(軌を一にする)、つまり轍の幅の統一です。当時、各国それぞれ、よそのくるまが入ってこないように轍の幅が違うくるまを使っていました。くるまといっても戦車が主で、馬に引かせた戦車は道路に深い轍をつくり、それがレールのようになっているのです。そのレールに車輪を入れて、くるまを走らせたのです。

戦車は、戦いのためのものですから、他国の戦車が入らないように轍の幅を違えておけば、敵の侵入を防ぐのに効果がありました。ところが、いまや天下は統一されたのです。轍の幅の違いは、全国の交通を阻害すると考えられるようになりました。そこで、始皇帝は、全国に“馳道”という道路をつくり、車輪の幅を一律にしました。

P22〜23

もう一つ、度量衡を同じくしたということも重要なことです。というのは、一合、一升、一斗だとか、あるいは長さの単位の歩、丈とかが各国で少しずつ違っていたのです。枡が違うわけですから、一斗のものが、ある国では一斗に足りないということが起こります。

そこで全国の度量衡を一つにしました。これは天下を統一した年にすぐに実施しています。

P23〜24

こうして全国が一つになってはじめて、中国は一つだという意識が生まれます。もしも始皇帝が出現しなかったならば、そして彼が天下を統一しなかったならば、おそらく中国は現在のヨーロッパのように、いくつかの国があって、それぞれことばも少しずつ違うということになっていたでしょう。

三国時代のように三つに分かれたり、あるいは南北朝時代、あるいは金や元の王朝ができたりと、分裂した時代のほうが、時期としては長かったかもしれませんが、中国人の心のなかに“中国は一つだ”ということを植えつけたのは、短い秦始皇帝の治世のあいだに行なったことの結果です。

これはたいへんなことで、たいへんなむりをしなければできないことです。私はこういうむりをしたから秦は滅びたというふうに考えております。

しかし、始皇帝は、やることはやったわけです。二千年たってもなお、中国は一つだという心を植えつけた、この事業は偉大であったと評価しなければならないとおもいます。

※ポイント
中国政府は全世界に中国は一つであるという「一つの中国」を唱えていますが、決してこれは中国共産党の政策ではなく、古代からの伝統なのです



台湾における反日感情


日本ではよく「台湾は中国や南北朝鮮と違って親日で素晴らしい」と言われる。この親日がどうのこうのという話も、主に日本人の間で「台湾は中国とは違う」という主張の大きな根拠とされている。

だが、実際には台湾人の間にも様々な理由から少なからぬ反日感情が存在している。ここではその中でも代表的と言える4つのテーマを取り上げることとする。これらは、全く同じことを日本人がやれば必ず右翼勢力から「反日サヨク」だの「日本人に成り済ました反日外国人」だの「売国奴」だの言われるような、れっきとした「反日行為」であることに留意。

(1) 領土問題

日本が「尖閣諸島」と呼ぶ島嶼の領有権を主張しているのは中国大陸だけではない。中国大陸が同島嶼を「釣魚島」と呼んで領有権を主張しているのと並び、同じ中華民族たる台湾も同島嶼を「釣魚台列島」と呼んで領有権を主張しているのである。

同島嶼についての台湾の公式見解は
台湾の政府機関のサイトで読むことができるが、記事数が多いので、時間がない方はとりあえず「日本が釣魚台列島を不法占拠した史実」(魚拓)などを読むといい。

この領土問題で日本を批判しているのは政府だけかと言えば決してそんなことはなく、一般の台湾人もみな概ね「釣魚台列島は我々の領土」との認識を持っている。

特に、異常なまでの日本びいきとして知られ、右翼日本人の間で盛んに持ち上げられている人物でもある李登輝が「尖閣諸島は日本の領土」と発言した際には、台湾政府から公式に抗議と反駁がなされたのはもちろんのこと、台湾のインターネットでも一斉に非難の声が巻き起こり、「日本びいきの李登輝、とっとと日本へ帰れ!」などの書き込みまであったという。

(2) 従軍慰安婦問題

従軍慰安婦問題で日本に謝罪と賠償を要求しているのは南北朝鮮だけだと思ったら大間違いである。朝鮮と同じく日本の植民地支配を受け、戦時動員が行われた台湾にも、日本軍性奴隷たる従軍慰安婦の問題が存在している。

台湾では毎年、「終戦の日」である8月15日に、日本政府に対して台湾の元慰安婦への謝罪と賠償を要求する反日デモが行われている。また、馬英九元総統は任期中に日本政府に対して台湾の元慰安婦への謝罪と賠償を繰り返し要求していた。これら以外に近年の台湾で起こった従軍慰安婦問題に関する大きな出来事をまとめていくと次のようになる。

2007年3月6日、台湾の外交部(外務省)が日本の安倍晋三首相の従軍慰安婦否定発言に対して公式に遺憾と抗議の意を表明。「台湾も慰安婦問題で安倍首相に抗議

2008年11月5日、台湾の立法院(国会)が、「日本政府が、はっきりとした、曖昧ではない態度で、戦時中の日本軍性奴隷制度の歴史的責任を受けとめ、正式に認め、謝罪し、生存している被害者に対し、直接、謝罪と賠償をおこない、一日も早く『慰安婦』被害者の名誉と尊厳を回復し、国連人権委員会の提案を遵守し、かつ現在と未来の世代に、関連の史実を正確に教えることを要求する」として、台湾の元慰安婦に公式謝罪と賠償を行うことを日本政府に要求する決議を全会一致で採択。「台湾立法院の「慰安婦問題の迅速な解決を日本政府に要求する」決議文」(魚拓)。

2012年8月25日、台湾の外交部が東京都の石原慎太郎知事と大阪市の橋下徹市長による従軍慰安婦否定発言に対して公式に遺憾と抗議の意を表明。「慰安婦に関する石原・橋下両氏の発言、外交部:遺憾」(魚拓)。

2013年9月28日、台湾の元慰安婦を描いた記録映画「蘆葦之歌」(Song of the Reed/葦の歌)が3年がかりで完成し、台北でプレミア上映。「台湾人元慰安婦の記録映画、プレミア上映 「歴史の傷忘れるなかれ」」(魚拓)。

2016年5月31日、台湾の人権団体「婦女救援基金会」が日本や南北朝鮮、中国大陸など8ヶ国・地域の市民団体と共同で、慰安婦関連の資料、計2744件を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の記憶遺産に登録申請。「台湾や日韓の市民団体、慰安婦資料を「記憶遺産」に登録申請」(魚拓)。

2016年6月3日、林全・行政院長(首相)が同日の立法院質疑で行った、台湾の元慰安婦の中に「志願した人もいれば、強制された人もいた可能性がある」とした発言を撤回し、謝罪。これは、台湾の政界でも慰安婦を「ただの売春婦」と見做す従軍慰安婦否定論が全く受け入れられないことを示す証拠である。「台湾の元慰安婦に「志願者いたかも」 林首相が発言を謝罪」(魚拓)。

2016年12月10日、台湾の若い世代に慰安婦の歴史を教えるための「慰安婦記念館」が台北にて開館。「台湾初の慰安婦記念館がオープン 文化相もエール」(魚拓)。

何よりも、これだけ台湾メディアの日本語版が台湾の従軍慰安婦問題についてたくさん報道している(これらすらもごく一部)のに、日本のメディアが南北朝鮮の従軍慰安婦問題を大々的に取り上げて「反日!反日!」と大合唱する一方、台湾の従軍慰安婦問題はめったに報道しないのは摩訶不思議な限りである。

台湾の従軍慰安婦問題に関連する情報については「台湾と従軍慰安婦〜関連情報まとめ」という記事にさらに詳しいことがまとめられているので、もっとよく知りたい方にはこちらの一読もおすすめする。右翼日本人が死んでも直視できない真実が、ここにある。

(3) 靖国神社問題

台湾では、日本の戦犯崇拝神社である靖国神社に対する批判も行われている。台湾の靖国神社問題と言えば台湾先住民出身の立法委員である高金素梅氏らの対日抗議活動魚拓)がよく知られているが、もちろんそれだけではない。

台湾は、執拗に繰り返される日本の閣僚や国会議員らによる靖国神社参拝のたびに、外交部を通じて公式に遺憾と抗議の意を表明しているが、日本のメディアはこの事実をめったに報道しない。

台湾が公式に日本の靖国神社参拝に遺憾と抗議の意を表明した事例は、2012年から2015年までの4年間に台湾メディアの日本語版が報道しただけでもこんなにある。

2012年10月21日:日本の閣僚、靖国神社参拝 外交部:遺憾魚拓
2013年4月29日:台湾外交部、日本に「未来志向」呼びかけ魚拓
2013年8月15日:「終戦の日」で台湾外交部、「日本は近隣諸国への配慮を」魚拓
2013年10月18日:新藤総務相らの靖国参拝、外交部「近隣諸国への配慮を」/台湾魚拓
2013年12月26日:安倍首相の靖国参拝 「非常に遺憾」=台湾外相魚拓
2014年1月1日:新藤総務相の靖国参拝で「遺憾」=台湾外交部魚拓
2014年4月12日:新藤総務相の靖国参拝で再び「遺憾」=台湾外交部魚拓
2014年4月20日:台湾外交部、日本閣僚の靖国神社参拝に「誠に遺憾」魚拓
2014年4月22日:台湾、日本に対し隣国との関係に配慮求める 政治家の相次ぐ靖国参拝で魚拓
2014年4月28日:外交部、靖国参拝の日本の政治家に建設的な行動を呼びかけ/台湾魚拓
2014年8月15日:台湾、「日本は地域平和促進に尽力すべき」 閣僚の靖国参拝で魚拓
2014年10月17日:台湾、「対日関係重視」強調も政治家の靖国参拝に遺憾表明魚拓
2015年4月22日:外交部、日本超党派議連の靖国参拝で「遺憾」/台湾魚拓
2015年8月15日:台湾、日本政治家の靖国参拝に遺憾表明 「平和と安定に尽力を」魚拓
2015年10月18日:外交部、日本閣僚2人の靖国神社参拝に声明「関係発展に無益」/台湾魚拓

(4) 福島放射能問題

多くの日本人は「台湾は東日本大震災時に非常に多額の義援金を援助してくれた。これは台湾が親日である証」などと無邪気にホルホルしている。一方、その2011年3月11日の東日本大震災に伴って発生した福島第一原発事故による放射能に汚染されている恐れがあるとして、台湾が日本産食品の輸入規制を実施している事実を多くの日本人は知らない。

この輸入規制は2015年5月にはさらに強化されており、これらの規制について台湾の行政院(内閣)は、台湾以外の近隣諸国・地域も同様の輸入規制を実施しているため正当であるとの公式見解を表明し、「世界貿易機関(WTO)への提訴も辞さない」とする日本の抗議を退けている

日本食品の規制強化 放射性物質検査が必要な輸入品はゼロ/台湾」(魚拓
台湾、日本食品の輸入規制は「中国大陸や韓国も実施」 正当性を強調」(魚拓

また、震災直後の2011年には台湾から日本への渡航者数が、1月から7月までの期間では前年同期比で23.8%も減少、特に3月から7月までの期間に絞れば前年同期比で32.7%も激減していた。これは、多くの台湾人が日本の放射能を恐怖していることを示している。

震災後、日本への台湾渡航者数2割強の激減」(魚拓



台湾の本省人は親日で外省人は反日だという嘘


よく「台湾で反日なのは戦後に国民党と一緒に中国大陸から移住してきた外省人だけ。戦前から台湾に住んでいた本省人はみんな親日」と言い張る日本人がいる。

そういうことを言う日本人、特に右翼日本人にとって、台湾および台湾人とは絶対に日本を批判しない日本に都合のいいペットのような存在であり、領土問題も従軍慰安婦問題も靖国神社問題も、全て中国大陸からやってきた国民党と外省人だけがやっている「例外的」なことだということにしたいのであろう。しかし、それは台湾にも色々な意見を持った人がいるという事実を無視した、台湾人を人間扱いしない浅はかな考え方である。

台湾事情に詳しい人物が書いたとされる、日本のネットの一部で有名な文章としてこういうものがある。
台湾の漁師に大陸系も外省人も皆無。そもそも外省人は第一次産業に就かないし就けない。
尖閣に向かった宜蘭漁民もそのスポンサーした旺旺グループオーナーも本省人。
尖閣問題で来日イベントをドタキャンして、
日本関連の仕事はしない宣言した羅志祥は本省人と原住民のミックス。
相手役の韓国人女優が来日拒否しても1人で来日しイベントを成功させた汪東城は
外省人だけどジローという日本名を持つほどの親日家。
311の時に台湾芸能人個人として最大の3750万円を寄付したバービースーも外省人。
前世は日本人と公言するほど親日家のレイニーヤンも両親ともに外省人。
日本でレッスンを受け日本のヒット曲をカバーするほどの親日家で
今年の台湾レコ大で福山雅治と一緒にプレゼンター務めたシンディワンも外省人。
古くは日台友好の最大の貢献者のテレサテンも親が國民党軍人の外省人。

本省人が親日で外省人が反日というステレオタイプの思い込みは時代錯誤も甚だしい。
要は、台湾には親日だけでなく反日もたくさんいるし、本省人と外省人のどちらが親日でどちらが反日なのかは一概に決め付けることはできず、一人一人が様々な意見を持っている、というごく当たり前のことである。だが、この世の中にはそんな当たり前のことすらわからない、視野の狭い者たちがたくさんいるのである。



台湾は親日だから好きだというのは愚かな考え方


台湾および台湾人が必ずしも親日とは限らないのはここまで見てきた通りであるが、ここでさらに、中国語通訳の日本人が書いた「
「台湾は親日だから好き(いい国)」という意見がイケてない3つの理由」という記事を紹介しておく。

同記事では、「台湾は親日だから好きだ」という一部日本人の意見に対し、

・ (親日でありさえすれば)誰でもよさそうに聞こえるから。
・ 台湾をほめているようで、実は日本人のプライドを満足させているだけだから。
・ 実は中国と韓国を罵倒するために、台湾が利用されているだけだから。


…という3つの理由を挙げて、そういう意見がいかに愚かしいものであるかを論じている。

特に「「台湾は親日だから好き(いい国)」という人は、「台湾は親日だから」以外に台湾が好きな理由を挙げられますか?」という指摘は全くその通りで、その手の日本人が「親日だから」以外に台湾を好きな理由を事細かに述べているところを今まで見たことがない。

結局のところ、右翼日本人など一部の日本人にとって、台湾および台湾人とは自らの自尊心を満たすために利用する道具に過ぎないということであろう。そんなことでは本当の意味で台湾を好きだとは到底言えないし、何より台湾および台湾人に対してこの上なく失礼である。



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