漢族によるチベットへの大量移住という嘘

ダライ・ラマ一味(以下ダライ集団)および西側諸国の反中勢力は「チベットに漢族が大量に移住してチベット人が少数派に追い込まれている」などと言い張っている。彼ら曰く、「チベット全土へ流入した中国人の数は約750万人に達し、チベット人の全人口約600万人を上回っている」だそうだ。

いわば日本が北海道においてアイヌ民族に対してやってきた人口侵略と同じことを中国の漢族がチベットにおいてチベット族に対してやっているとする主張であるが、実際にはそのような事実はどこにも存在しない。

中国の人口統計では21世紀初頭現在もチベット人口の9割がチベット族であるし、世界の多くの情報ソースがチベット高原は生まれつき高地適応能力を持ったチベット族でなければ生きていけない過酷な自然環境にあることを立証している。

よく反中勢力が「チベット近代化による経済発展やインフラは大量に移住してきた漢族にしか恩恵をもたらしていない」だの、「チベットの人口平均寿命が倍増したのは大量に移住してきた漢族の人口や平均寿命が倍増していることを示すに過ぎないもので、チベット人の生活水準向上を示すものではない」だのと、何の証拠も示さずに決め付けているが、そもそも漢族によるチベットへの大量移住という事実自体が存在しないのだからそんな話は全くの事実無根としか言いようがない。



目次
1. 反証1:中国の人口統計ではチベット人口の9割がチベット族
2. 反証2:チベット族だけが持つ特殊な高地適応遺伝子がある
3. 反証3:河口慧海がチベット訪問時に何度も血を吐いている
4. 反証4:旅行会社などがチベットでの高山病の危険性を警告



反証1:中国の人口統計ではチベット人口の9割がチベット族


まず、実際の人口統計を確認してみよう。

ダライ集団は公式に「チベット全土へ流入した中国人の数は約750万人に達し、チベット人の全人口約600万人を上回っている」と主張しているが、その裏付けとなる人口統計が提示されることは決してない。なぜならそのような事実自体がどこにも存在しないためである。

「チベット全土へ流入した中国人の数は約750万人」の裏付けとなる人口統計が存在しないのはもちろんであるが、実は「チベット人の全人口約600万人」の裏付けとなる人口統計も同じく存在しないのである。この「600万人のチベット人」なる数字はダライ集団が長年来、繰り返し唱え続けているが、その裏付けとなる人口統計が提示されたことは今までただの一度たりともない。

では、中国の公式な人口統計ではチベットにおけるチベット族と漢族のそれぞれの人口はどうなっているのだろうか。中国が発表している人口統計をまとめた当サイト内の記事「
チベットおよびチベット族の人口推移」から引用すれば次のようになる。

1953年の第1回国勢調査時のチベットの総人口は127万5000人で、チベット以外の地域も含めた中国全土のチベット族人口は277万5000人であった。1964年の第2回国勢調査時からはチベット内のチベット族人口も集計されるようになり、チベットの総人口125万1000人に対してチベット内のチベット族人口120万9000人と、総人口の9割がチベット族であった。

2000年の第5回国勢調査時にはチベットの総人口261万6300人に対してチベット内のチベット族人口241万1100人で、依然として総人口の9割をチベット族が占めている。ちなみに同年の中国全土のチベット族人口は542万人である。中華人民共和国建国以後の約半世紀でチベット内のチベット族人口は120万9000人から241万1100人へと、中国全土のチベット族人口は277万5000人から542万人へと、それぞれ約2倍に増えており、ダライ集団が主張するようなチベット族への民族浄化などありもしないことがわかる。

なお、北京オリンピックが開催された年である2008年の簡易人口調査では、チベットの総人口287万人に対してチベット内のチベット族人口270万人で、やはり総人口の9割がチベット族である。裏を返せばチベットに移住した漢族は総人口の1割にも満たないのである。

チベットの人口についてよく言われる屁理屈としては、一つ目は「ダライ・ラマ側の言うチベットの人口とはいわゆる『大チベット』地域の人口のことで、中国側の言うチベットよりも範囲が広いので、中国側の統計では正確なチベット人の人口がわからない」というものである。しかし、中華人民共和国建国後間もない1953年の第1回国勢調査時の中国全土のチベット族人口は277万5000人であるとはっきりしており、ダライ集団の言う「『大チベット』地域に(当時から)600万人のチベット人がいた」という主張とは整合しない。

したがって、どちらかが嘘をついていることになるが、中国の人口統計は国勢調査に基づく信憑性の高い数字であるのに対し、ダライ集団が主張するチベットの人口は裏付けとなる人口統計が一切不明なものである。どちらの数字がより真実を反映しているのかは明々白々であろう。

二つ目は「チベット人口の統計には漢族の軍人や役人、およびその家族の人口がカウントされておらず、実際にはチベット族よりも漢族のほうが人口が多い」というものである。しかし、これも一体どのような人口統計を根拠としているのかが一切不明な主張であり、信ずるに値しない。

なお、同じ中国国内の少数民族自治区である新疆ウイグル自治区や内モンゴル自治区などに漢族が増えていることについては中国政府も別に否定していない。例えば新疆ウイグル自治区の漢族人口については、中国政府の公式発表である「中国政府白書」の「新疆の発展と進歩 - 五、各民族の平等・団結を堅持する」(魚拓)という記事にて、
新疆は民族が多い。2000年の第5回国勢調査によれば、新疆にはウイグル族、漢族、カザフ族などの55民族が居住している。2008年、新疆の総人口は2130万8000人で、そのうち漢族以外のほかの民族が1294万5000人いて、新疆の人口総数の60.8%を占めている。2007年現在、人口100万人以上のものはウイグル族(965万1000)、漢族(823万9000)、カザフ族(148万4000)の3民族である。10万から100万人までの民族は回族(94万3000)、キルギス族(18万2000)、蒙古族(17万7000)の3民族である。1万から10万人までの民族はタジク族(4万5000)、シボ族(4万2000)、満州族(2万6000)、ウズベク族(1万6000)、ロシア族(1万2000)、トンシャン族など6民族である。そのほかの民族の人口は1万人に達していない。
…と説明されている。つまり、新疆ウイグル自治区の総人口約2000万人のうち約800万人が漢族であることを中国政府は公式に認めているのである。

その上で、中国政府がチベットに関してだけは漢族が増えている事実を隠蔽するために人口統計を操作している、などと言い張りたければ、そう主張する側がその客観的証拠を出すべきである。

次からは、なぜチベットにだけは漢族の移住が進まないのかがわかる根拠を提示したいと思う。

(反証2に続く)



反証2:チベット族だけが持つ特殊な高地適応遺伝子がある


チベットに漢族の移住が進まない最大の理由、それはチベット族以外の民族のほとんどの人々が高地の過酷な自然環境に適応できないことである。

まず、米国の研究者らによる研究より。
チベット人の高地適応能力、絶滅人類系統から獲得か 国際研究(1)魚拓

2014年07月03日 12:50 発信地:パリ/フランス

【7月3日 AFP】チベット人が高地で暮らすことができるのは、現在は絶滅した謎の人類系統から受け継いだ特殊な遺伝子のおかげだとする研究論文が、2日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

中国、チベット、米国の国際研究チームによると、現在のチベット人の祖先は、血液中の酸素量を調整する重要な遺伝子変異を、デニソワ人(Denisovans)と呼ばれる人類種と交配した際に獲得したという。

ネアンデルタール人と同時代に生きていたデニソワ人の存在が明らかになったのは、わずか4年前のことだ。デニソワ人もネアンデルタール人と同様に、解剖学的現代人の現生人類(ホモサピエンス)によって絶滅に追い込まれた可能性がある。

デニソワ人の存在は、ロシア・シベリア(Siberia)南部のアルタイ山脈(Altai Mountains)にあるデニソワ洞穴(Denisova Cave)で発掘された、約8万年前の指節骨の破片1個と臼歯2個によって判明した。

デニソワ人は、分岐した系統の一つとして姿を消す前に、ホモサピエンスと交配して、現在のヒトDNAプール中に残存している特徴を残したことが、遺伝子配列の解読によって分かった。

研究チームは、チベット人40人と中国漢民族40人のゲノム(全遺伝情報)の比較を行った。

その結果、血液に酸素を行き渡らせるヘモグロビン分子の生成を調整する「EPAS1」と呼ばれる遺伝子の特異な変異が、チベット人の遺伝子コードに埋め込まれているのを研究チームは発見した。

EPAS1は、血液中の酸素濃度が低下した場合に発現し、ヘモグロビンの生成量を増加させる。

高地では、EPAS1の一般的な変異によってヘモグロビンと赤血球が過剰に生成され、血液が濃くドロドロになる。これは高血圧症や、新生児の低体重および死亡の原因になる

だが新たに見つかった変異は、生成量の増加を過剰にならないように抑制するため、標高4000メートルを超える場所に移住する多くの人々が経験する「低酸素症」の問題を防いでいる。

米カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)のラスムス・ニールセン(Rasmus Nielsen)教授(統合生物学)は「われわれは、EPAS1のこの変異がデニソワ人に由来するという非常に明白な証拠を手にした」と語る。

「人類は他の人類種から遺伝子を獲得することで進化し、新しい環境に適応するようになったことを、これは非常に明確に、そして直接的に示している」




チベット人の高地適応能力、絶滅人類系統から獲得か 国際研究(2)魚拓

■チベット人の例外

チベットの人々が持つEPAS1の変異は、デニソワ人のサンプルで見つかった変異とほぼ同じものだった。

だがこの変異の痕跡は、漢民族以外の、デニソワ人の名残を受け継ぐとされる他の民族集団には全く存在しない。デニソワ人由来のゲノムの割合が5%と民族の中で最も高いメラネシア人にも、その痕跡はみられない。

アフリカを出たホモサピエンスのグループは、中国へ向かう途中でアジア中部を通過した際にデニソワ人と交配したとの説を論文は提唱している。

中国に移住したホモサピエンスのグループは、その後2つに分裂した。一つはチベットに移動し、もう一つは低地に残り今日の漢民族となった

研究によると、種族間で交配を重ねた結果、チベット人の87%がEPAS1の貴重な変異を獲得するに至ったという。それに対し漢民族は、共通の祖先を持っているにもかかわらず、全体の9%しかこの変異を持っていない。(c)AFP/Richard INGHAM
次に、オーストラリアの研究者らによる研究より。
チベット族が高原環境に適応する遺伝子の秘密を解明魚拓

人民網日本語版 2017年04月05日 10:23

中国と豪州の研究機関は3日、米国科学アカデミー紀要(最新号)で、チベット族が高原環境に適応する多くの遺伝子の秘密を解明したと報告した。新華社が伝えた。

チベット高原の平均標高は4000メートル以上で、大気中の酸素濃度は平原の4割ほど。紫外線の強度も平原を3割ほど上回り、「生命に危険を及ぼすエリア」と呼ばれている。チベット族がこうした高原の環境に適応している原因を研究するため、中国温州医科大学の瞿佳氏、呂帆氏、金子兵氏は、豪クイーンズランド大学の楊剣氏らと協力し、チベット高原のチベット族を対象に、史上最大規模の遺伝学研究を行った。

研究者がチベット族3000人以上、平原の漢民族2000人以上の遺伝子を比較したところ、MTHFR、RAP1A、NEK7、ADH7、FGF10、HLA−DQB1、HCAR2という7つの遺伝子が、チベット族の高原環境適応で効果を発揮していることが分かった。研究者によると、新たに発見されたこれらの遺伝子は、高原適応の遺伝的メカニズムを理解する上で、重要な意義を持つと表明している。(編集YF)

「人民網日本語版」2017年4月5日
当サイト管理人の専門外の分野の話なのであまり詳しくは説明できないが、要はこのようにチベット族だけが持つ特殊な高地適応遺伝子がある、ということが欧米の研究者らによって解明されたということである。

さて、こういう特殊な遺伝子を持たない民族が平均標高4000メートル以上の高地に位置するチベット高原に長期間暮らしているとどうなるか、一例として、20世紀初頭に日本人としては初めてチベットを旅行した偉いお坊様に聞いてみることとしよう。

(反証3に続く)



反証3:河口慧海がチベット訪問時に何度も血を吐いている


高地の過酷な自然環境に適応できない人間が長期間にわたってチベット高原にいるとどうなるのか、それを日本人としては初めてチベットを旅行した黄檗宗の僧侶である河口慧海(かわぐち えかい、1866 - 1945)が著書
『チベット旅行記』にこう記録している。
出典:河口慧海『チベット旅行記』の「第二十二回 月下の坐禅」

それからその坊さんはもと来た道に引き返し私はその荷物を背負ってだんだんテントのある方へ指して進んで行ったです。なかなかテントは見えない。ところでその時は疲労がだんだん烈(はげ)しくなって仕方がなくなって来たです。心臓病を起したのかどうしたのか知らんが息は非常に急(せわ)しくなって来まして少し吐気(はきけ)が催しました。こりゃいけないと思ってそこへ荷物を卸しますと背中の方にも荷物を背負ったためにすりむくれが出来ましてその痛いことと言ったら堪らないです。その痛みよりも今吐(は)き出しそうになって居る奴が非常に苦しくって何か胸に詰って来たようになったからじきに宝丹(ほうたん)を取り出して飲みました。

無人の高原に血を吐く するとドッと一つ血を吐きました。こりゃ大方空気の稀薄の所ばかり長く通ったものですから、こういうことになったのか知らんと思いました。私は元来心臓病はないはずだがなぜこういう風に心臓の加減が悪くなったか知らんと疑いましたが、これもやはり空気の稀薄の加減であろうと察したです。もっともチベット人は空気の稀薄に堪え得られるだけの非常に強壮な肺を持って居るです。私どもの肺はチベット人の肺に比すると大方半分しかなかろうと思います。ですから肺が自然と圧迫されるのか突き出すのか分りませんが、非常に胸膈(きょうかく)が苦しくなって来ましてどうもして見ようがなくなった。で、まあ大病というような形状を現わして来た。こりゃうかうか進んで行くとつまりテントの在る所に達し得ずして死んでしまう




出典:河口慧海『チベット旅行記』の「第四十七回 公道を進む」

血塊を吐く ところがそこに滞在して居る中に私の身体に病気のような非常な変化が起って来た。ある時外へ散歩に出て居りますと、何か喉の所に塊が滞(とどこお)って居るようであるから何心なく吐いて見ると血の塊を吐き出したです。ドドドッと一遍に吐き出した血は鼻から口から止め度もなく流れ出したです。はてこりゃ肺病になったのじゃあないかしらん、私は元来肺が強いつもりであったがなぜこんな病気を患うのか知らんという考えも起ったですが出血はどうも止らない。しかしそういう時にジーッと静かにして居られますのが前に禅宗のお宗家(しけ)様から

頭を叩かれた功徳 であって実に苦しくなる程余計静かになって来る。そこで呼吸の内外に通ずるのを余程阻害(そがい)して行くような心持をもってじっと草原の中に坐り込んで居ると大分に血の出ようが少なくなった。漸(ようや)くの事で止りましたが、その時に出た血がどれだけあったかその辺は真っ赤になって血が沢山溜って居りました。どうしてこんなに沢山血を吐いたものか知らんと、自分ながらびっくりして顔も青くなって帰って来ますとギャル・プンの長者が、あなたの顔が大変青いがどうしたのかという。その次第を告げますと、そりゃあなた何だ、シナの人などがこの辺に出て来るとどうもこの辺は息気(いき)(空気の稀薄な事を知らぬゆえ)が悪いもんだから血を吐くということを聞いて居る。それには良い薬があるからといって薬をくれたです。

そこで私も経験ある老人に教えられて始めて肺病でない、成程空気の稀薄な土地を長く旅行したためにこういう害に遇(お)うたのかと漸く安心致しました。けれどもまた三日ほど経ってまた血を吐いたです。今度は大分少なかった。
これは、チベット問題など存在しなかった20世紀初頭の時代にチベットを訪問し、長期間にわたって滞在した日本人が書いたものである。

しかし、わずか1世紀かそこらでチベット高原の過酷な自然環境が大きく変化するとは考えられないので、現在においてもチベット族以外の民族が河口と同じくらいの長期間にわたってチベット高原に暮らせばおおよそ同じことが起こるであろう。河口はまさに文字通り命がけでチベットを旅行したのである。

このように健康体の日本人の成人男性であった河口ですらチベット滞在時に何度も血を吐いているのだから、漢族が大挙してチベットに移住したところで、人並み外れた体力を持つごく一部の者を除けば、高地の環境に適応できずに命を落とす危険に晒されるのがオチである。

そして先述の米国の研究者らによる研究にもあるように、高地の自然環境は新生児の低体重および死亡の原因になるのだから、チベット族以外の民族がチベット高原に定住し、子供を産み育てて多くの子孫を残すことなど至難の業である。

これではダライ集団が主張するようなチベット族への民族浄化とやらが起こる前に、漢族が高地の自然環境によって「民族浄化」されてしまうであろう。これでも反中派の諸君は何の客観的証拠もなしに、単にダライ集団がそう言い張っているというだけを根拠に漢族のチベットへの大量移住があると言い張るおつもりだろうか?

(反証4に続く)



反証4:旅行会社などがチベットでの高山病の危険性を警告


最後に、旅行に関する仕事に携わっている人々からのチベット旅行に対する警告をいくつか紹介したい。

まず、日本旅行医学会の警告より。
高山病で死なないために魚拓

2000メートルを超える地域への旅行には高山病の危険

最近は世界各国の様々な場所へ旅行することが出来るようになりました。かつては一部の登山家や特別の目的を持った人しか行かなかった高地にも、飛行機やヘリコプターなどを使って簡単に行けるようになってきました。ところがその結果、旅行者本人が意識せずに標高の高い地域に滞在することにもなっているのです。高山病というと特別な登山家だけのものと思われがちですが、1800mから2500mを越える地域への旅行には高山病の危険があります。日本では富士山の五合目で2300m、頂上で3776mですから、富士登山をされる方でも高山病の危険はあります。最近人気の海外旅行の目的地、南米ペルーのクスコ(Cusco 3000m)、ボリビアのLa Paz(3444m)、チベットのラサ(3749m)などへ行くときには特に注意が必要です。

高山病のかかりやすさは生まれつき

それではどんな人が高山病にかかりやすいのでしょうか。それは実際に行ってみないと判らないのです。

この高山病になりやすいかどうかは、それぞれの個人による差が大きく、なりやすいかどうかを調べる方法もありません。また、今までの経験によれば、高山病のかかりやすさは生まれつきのもので、次第になれることもなく、トレーニングによって改善されることもありません

もしあなたが、うっ血性心不全や呼吸不全の状態であれば、このような高地への旅行を決める前に主治医の先生に相談することをおすすめします。担当の先生が高山病に対してよく判らないとおっしゃったら、日本旅行医学会や旅行医学に詳しい先生とご相談ください。

狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の方は、高山病が発生する危険度に通常の方と差はありません。ただ、もしその発作が医療施設の不十分な遠隔地で起きた場合には、適切な治療を受けられるのかどうかという心配が残ります。

(中略)

団体旅行の方が危険!?

調査によると、高度の高い地点への旅行では団体旅行のほうが個人旅行よりも高山病で死にやすいといわれています。たぶん団体としての重圧があったり、日程に余裕がないためでしょう。どのような状況にあっても、ひどい高山病とならないためには、高山病の症状がすっかりおさまるまでそれ以上高い地点に登らないことです。命の方が大切ですから。

子供と妊婦

子供は成人よりも高山病にかかりやすく、また小さい子供は高山病でみられる食欲不振や倦怠感などの不定愁訴をうまく話すことができません。また、妊婦については高地に短期間行った場合の胎児への影響についての研究や報告はありません。しかし、ほとんどの専門家は妊婦はできるだけ3600m以下にいることを勧めています
次に、中国旅行専門の旅行会社「AraChina」(アラチャイナ)の警告より。
高山病対策とチベット旅行許可証魚拓

高山病とは

高山病は1800mから2500mを越える地域で発症する危険性があります。

中国では、雲南省北部のシャングリラ(標高約3400m)や、四川省北部の九寨溝や黄龍(標高約3000m)、チベットのラサ(標高3749m)などへ旅行される方は、特に注意が必要です。

高山病は正確には病気ではなく「高度障害」ですので薬等で事前に予防することは困難で、高山病にかかりやすい体質かどうかは、実際に行ってみないと判らないといわれています。かかりやすさは、生まれつきの体質で、次第になれるというものでもありません

もし、血性心不全や呼吸不全などの持病をお持ちの方は、高地への旅行を決める前に、主治医に相談することをおすすめします。狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の方は、高山病が発生する危険度に通常の方と差はありませんが、もしその発作が医療施設の不十分な遠隔地で起きた場合には、適切な治療を受けられるのかどうかという心配が残ります。

(中略)

子供は成人よりも高山病にかかりやすく、また小さい子供は高山病でみられる食欲不振や倦怠感などの不定愁訴をうまく話すことができませんので、旅行は避けられるほうがよいでしょう
見ての通り、日本旅行医学会はチベット旅行に際して、高山病で死ぬ可能性があるので十分に気を付けるようにと警告を発しており、実際の中国旅行会社も旅行に際しての注意事項としてそれを引用している。

特に子供や妊婦は成人以上に高山病に気を付けなければならないとしている。これでは低地から移住した漢族がチベットで子孫を残して人口を増やしていくことなどほぼ不可能であろう。

さて、旅行に関する仕事に携わる人々がお客様の命に関わることで嘘を書くとはまず考えられないわけであるが、この期に及んでもカルト的にダライ集団の主張を妄信し続けたい人は、いっそ貴方が一度実際にチベットに移住して長期間暮らしてみてはいかがだろうか?無論、高山病にかかって命を落としてからその間違いに気付いたところで手遅れであるわけだが。



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